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エディトリアルデザインにとって「良いデザイン」とは何でしょう? フラクタルではそれは「読む気にさせる」という事にキーワードがあると考えています。その為には、本文の可読 性を第一に考え、読みやすく又読 みやすさを追求することによって、誌面の美しさも体現さ れると考えています。しかし、何種類もの言語の混在する日本語は、組版においてその理想を実現するのは並大抵の努力では追いつきません。例えば漢字とひらがな、カタカナでさえすでに表音文字(漢字)と表意文字(ひらがな・かたかな)、そして表意文字の中でもひらがなとかたかなは成り立ちの違う言語であり、普段何気なく我々が使っている「日本語」はこの様に複 雑な構造になっており、これに英文が加われば更に複雑になる事は想像に難くありません。

そしてその日本語組版について「日本語の組版はベタであるべき」とか「一律一歯詰め」とか色々言われていますが、文字の種類、文章の中身を抜きにしてはこの論争は全く意味を成しません。文字の書体一つとっても、書体が違えば仮想ボディの大きさが違い、それによってすでに読みやすい字間は同じではなく、更に表意文字(漢字) 表音文字(カナ)とでは読みやすい字間というのは違います。つまりテキスがカナの多いテキストと漢字の多いテキストとでは読みや すい字間は同じではないということがいえます。その様な複雑怪奇な日本語組版ですが、そ れだからこそ日本語組版はDフラクタルのデザイナーにとってやり甲斐のある仕事なのです。更に付け加えるならば、一種類の言語しか使用しない諸外国の組版に比べれば日本語組版の難しさは世界一といえるでしょう。

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